あらすじ
砂漠で倒れた男を拾ったのは、全部族を束ねる覇王だった。
帝国最強の剣と謳われた男——心を殺した代償に、味も、痛みも、空腹も、何も感じられなくなった男。
覇王は何も語らない。ただ毎朝、食事を運び、棗を一つ増やし、天幕の入口の砂に膝の跡を残していく。朝になると、その跡は消されている。
何も感じないはずだった。
なのに、この男の傍でだけ、味が戻り、痛みが戻り、名前を呼んだ唇が熱を持つ。覇王の背中には鞭の傷が九本。帝国の規定は十二。足りない三本の答えを、自分の背中が知っているのかもしれない。
封じた記憶の向こうに、鎖に繋がれた少年がいる。庭で交わした唇の温度がある。全てを壊した、嘘の言葉がある。
七年。覇王はずっと待っていた——男が、思い出してくれる日を。
身分差・記憶喪失・再会・運命・両片想い・ハッピーエンド
※カクヨム版は、全年齢向けに内容を調整して投稿しています。もしこれ以上の踏み込んだ描写も読みたいという方がいらっしゃれば、同タイトルで探していただければ幸いです