あらすじ
侯爵令嬢クラリベル・レインフォードは、王太子アルリクスから婚約破棄を告げられた。
理由は、冷たいから。
帳簿や予算や責任ばかりで、自分を愛しているようには見えなかったから。
前世が税理士だったクラリベルは、甘い言葉で愛を伝えるのが苦手だった。
その代わり、王太子が恥をかかないように支出を整え、足りない予算を補い、彼の約束が嘘にならないよう、誰にも知られず支えてきた。
けれど、その愛は届かなかった。
婚約破棄を受け入れたクラリベルは、静かに帳簿を開く。
「婚約破棄は承りました。では、王家への貸付金を精算しましょう」
明らかになるのは、王家の借金だけではない。
クラリベルがどれほど不器用に、どれほど深く、王太子を支えてきたかという記録だった。
これは、帳簿にしか愛を書けなかった侯爵令嬢が、その行間を読んでくれる人と出会うまでの物語。