あらすじ
「神に嫁ぐために生まれた少女」――鈴嶋碧。
徳島の寺に生まれた彼女は、物心ついた頃から“顔も知らない神に仕える運命”を言い聞かされて育ってきた。
疑問を抱きながらも抗えないまま、その定めを受け入れようとしていた碧。
しかしある日、妹と共に訪れた屋敷で、彼女の運命は大きく狂い始める。
そこにいたのは、碧の名を知る謎の男・海神魁士。
そして、人の理を超えた“白い存在”と、どこからともなく感じる視線だった。
抵抗する間もなく連れられた先で始まったのは、静かで奇妙な同居生活。
だがその夜から、碧は「見えない何か」に触れられるようになる。
優しく髪を撫でる手。
離れない気配。
それは恐怖であるはずなのに、どこか温もりを帯びていて――。
一方で魁士は、その存在を当然のように制御し、碧を守ろうとする。
「守る」と言い切る男。
「離れない」と囁く見えないもの。
そして、神に捧げられるはずだった少女。
やがて碧は知ることになる。
自分の運命は“神”だけでなく、もっと別の何かによっても形作られていたことを――。
これは、神と人と、見えない執着の狭間で揺れる物語。