あらすじ
ある日、恋人が突然いなくなった。
消えた恋人を探す男、渡瀬。
その理由も手がかりも掴めないまま、ただ「行方不明」として処理されていく現実に直面し、わずかな可能性を頼りにネット掲示板を遡る。
そこで見つけたのは、ある海岸に関する断片的な書き込みだった。
「地図にない道がある」
「同じ場所なのに、たどり着けない」
「夜になると何かがおかしい」
さらに調べていくうちに、その海沿いの町では“ある奇妙な噂”が囁かれていることを知る。
──その場所に入った人間は、何かがおかしくなる。
──戻ってきても、以前と同じではない。
恋人の名前はどこにも出ていない。
それでも、書き込みの断片は妙に一致していた。
確信のないまま、渡瀬はその海沿いの町へ向かう。
南へ続く一本道。
途中で現れる、記録にない分かれ道。
そして、言葉にできない違和感。
そこでは、時間も距離も、そして“人の認識”すら正しく機能しない。
探しているはずの存在は、少しずつ輪郭を失っていく。
やがて渡瀬は気づく。
自分は本当に恋人を探しているのか。
それとも――
この場所そのものに、“探させられている”のか。
静かに侵食していく、海沿い認識崩壊ホラー。