あらすじ
赤い月が、空に浮かんでいた。
2026年3月3日。
世界各地で観測される皆既月食――人々はそれを面白半分に“ブラッドムーン”と呼んでいた。
SNSには無数の写真が投稿され、恋人たちは夜空を見上げ、子どもたちははしゃぎ、大人たちは明日の仕事を気にしていた。
その日が、人類最後の平穏になるとも知らずに。
人々は知らなかった。
遥か昔、月の神が地球へ撒いた浄化の種の存在を。
戦争、憎悪、欲望、絶望。
人類が放ち続けた生命と負の熱量を吸い上げながら、それらは静かに育っていた。
そして今夜、赤い月を合図に目覚めた。