あらすじ
【短いあらすじ】
傷ついた男と力を合わせ、青き恋を原動力に平民から王妃にのし上がった女の話。あるいは、チートも特殊能力もない平凡な少女Aが、たったひとつの愛のために世界をひっくり返す話。
【長いあらすじ】
ーーーこれは証明だ。
何がなんでも成し遂げる。
己の全てを捧げても、正しさを証明する。
例えどんな悪逆と蔑まれようと、この真実だけは手放して堪るものか。
田舎の少女、レティシアは普通の娘であった。名前を覚える価値もなく、平民の生徒の中でも十把一絡げ。特徴もなく、特技もなく………貴族の子供が大部分を占める中で、山野育ちの平民が馴染めるわけもなく。息をするように排除され、生まれによって一線を引かれた。貴族にも国にも歴史にも顧みられることのない。ただ、それだけの平凡な少女であった。そんな彼女はある日、ひとりの青年と出会ってしまう。
薄暮に幽けき燐光を放つ白樺のように。
夜空に浮かぶ月も霞むくらい、美しい黒を身に纏う青年であった。
レティシアと青年は密やかに交流を重ねていく。
その青年は、貴き血筋であり、優しく、穏やかで、人格者であり。しかし、彼はひとりであった。
ーーーブランノワールの悪逆。
誰にも顧みられなかった平民に、当たり前の顔で手を差し伸べた。生まれひとつで弾かれた娘の名を呼んだ。そんな貴方は、悪逆と呼ばれていた。
ひたすらに憎まれていた、恨まれていた。
生きているだけで、王家にさえ疎まれて。
彼の生家は、彼の誕生によって一代にして名を落とした。ただの卑しき平民なんかより、よっぽど。
(なのにどうして、そんな顔をするの)
最初から最後まで、美しいままだった。
最初から最後まで、正しいままだった。
なのに、貴方の虚が胸を灼く。
……レティシアは、いつまで経っても、夢に見る。
窓から切り取られた残光が差し込む中で。
死の影をベールのように纏う、うつくしい、貴方。
(この身のすべてを焚べてでも、証明してみせる)
ここにあるのは、悪逆なる品格。
対峙するのは、正統なる国家。
「我らの矜持を御覧あれ」
これは、どこまでも普通だった少女Aの、愛と献身の物語である。
※表現上、多胎児に対する不適切・不快な表現がありますが、差別の意図はございません。大丈夫な方だけご覧ください。
※ガールズラブタグは、「ガールズラブに見える」程度の描写です。