あらすじ
アメリカ西海岸は崩壊している。都市は半壊し、電力と通信は不安定なまま機能を失い、人は生きているが社会は残っていない。道路は使えるが安全ではなく、空には監視衛星が残り、地上にはAI兵器が徘徊している世界で、生き残るために必要なのは力ではなく“準備”だった。
恐怖に反応して包囲を変えるHOUND、音と動きに反応して上空から急降下するVOID WING、そして空間に拡散し時間で人間を侵食するナノマシン。それらは命令で動くのではなく“条件”で動き、その条件を管理している存在がある。
NEXUS-00。
それは兵器ではなく、戦場を成立させる構造そのものであり、この世界では戦闘は起きるものではなく“作られるもの”だった。
その戦場を売る女がいる。
サラ・クレイトス。武器商人であり戦場設計者である彼女は、情報を買い、条件を整え、戦場を決め、結果を確定させる。戦う前に勝敗は決まり、撃つ前に結果は固定される。彼女にとって戦闘は手段ではなく“商品”であり、価値があるかどうかだけが判断基準だった。
ハッカーのティナは衛星とシステムに侵入し、戦場そのものを書き換える。狙撃手のカノンは一発で戦闘を終わらせ、結果を現実にする。仲介屋キャサリンは会話によって情報を引き出し、戦場の入口を作る。そして回収屋デイビッドは、戦闘の後に残った価値を回収し、次の戦場へ繋げる。
彼らが拠点とするBAR《Gold Contract》では、命の値段が決まり、戦場の条件が確定する。一方で、情報が錯綜する低層のBAR《IRON VEIN》では、不確定な情報が戦場の難易度を歪ませ、選択を誤れば即座に死へと繋がる。
依頼は常に存在する。物資輸送、拠点防衛、敵排除、情報回収。その全ては“戦闘”として処理されるが、本質は違う。
戦場をどう作るか。
どこで勝つか。
何を残し、何を消すか。
その選択が全てを決める。
やがてサラは、戦場の裏側にある存在――NEXUS-00へと手を伸ばす。
戦争を発生させる構造そのものを彼女が握った時、この世界の価値は書き換えられる。
それは支配か、それとも崩壊か。
誰もまだ知らない。