あらすじ
値段が見える少女は、世界を買うことができた。
食料、道具、土地、情報——
あらゆるものに「価値」が表示され、適正価格で手に入れることができる。
けれど彼女は、ある日気づく。
――値段のつかないものがある。
それは、泊まる理由。
助ける理由。
そして、「ここにいていい」という感覚。
山に棲む“降りない魔女”イルビアスと出会い、
少女フィアネは「買わない選択」を覚えていく。
売らない。
囲わない。
それでも確かに増えていく、畑と、関係と、居場所。
やがて世界の裏側——三十層の神殿は、
“価値にできない存在”である彼女を観測し、そして回避を始める。
これは、世界を買える少女が、
あえて何も買わずに生きる物語。
値段の外側で、理由を選び続ける、静かな異世界スローライフ。