あらすじ
この国では王子たちが王太子の座を競うために、生まれたばかりの有力貴族の令嬢を「仮婚約者」にして、将来の王太子妃、王妃として確保していた。
「仮婚約者」の数は、王子の母親である王妃や側妃の実家の力に大きく影響されていた。
クレアが生まれてすぐ「仮婚約」を結ばされたのは、側妃が産んだ第一王子だった。
第一王子を溺愛する祖父である公爵の力により、第一王子の「仮婚約者」の数は、12人にも及んだ。
第一王子は、ありえないくらい頭がお花畑のお馬鹿さんに育った。
クレアが定期的に催されている「第一王子と仮婚約者たちのお茶会」に行くときに、10歳年下の妹のルースが必ずくっついて登城するようになった。
妹ルースは、賢王になること間違いなしと噂されていた第五王子と心を通わせるようになっていった。
この国では、一貴族から王家に嫁げるのは一人だけ。
「仮婚約」を「破棄」できるのは、王族側だけ。
仮婚約者有責での仮婚約破棄には、家が潰れるほど法外な慰謝料が要求される。
王太子妃になれなかった「仮婚約者」は将来は側妃に、正妻になれなかった「仮婚約者」は側室にされ、「仮婚約契約」から解放されることはない。
こんな馬鹿げた王家の慣習に不満を抱いている貴族は少なくなかった。
ルースを第五王子に嫁がせるために、
将来性皆無の第一王子から「仮婚約」契約を破棄させるために、
関係者の気持ちが一つになった。