あらすじ
「はーい……」
「やっとお会いできたわあ」
おれはぎょっとして、その場で固まった。夕飯を済ませ、うとうとまどろんでいたところにインターホンが鳴った。無視しようかとも思ったのだが、帰る気はないというように執拗に鳴り続け、おれは仕方なく重たい体を引きずるようにして玄関へ向かった。
ドアを開けると、そこに立っていたのは見知らぬ中年の女。薄い色のサングラスに、パーマのかかった短髪。にこにことやけに貼りついたような笑みを浮かべていた。
そして女は、おれの顔を見るなり一歩踏み込み、手を握ってきたのだ。
「それで、あの……なんですか?」