あらすじ

「わたくしは家名で生きてきたのではなく、舌と手で生きてきたのです」——婚約破棄と家の取り潰しを同日に言い渡された令嬢アイリルは、身を隠すため名を伏せ、王宮の裏口から厨房の見習いとして潜り込む。頼れるのは、舌の記憶と、鍋を握ることを許してくれた亡き母の教えだけ。だが、ふるまった一皿の「まかない飯」が冷酷と噂の第二王子フェリクスを厨房の片隅から動けなくさせ、さらには王都を揺るがす卸問屋の腐敗へと繋がっていく。食材の産地、仕込みの刻限、器の重さ——厨房に積まれた無数の気づきが、やがて令嬢を陥れた者たちの嘘を丁寧に剥がしていく。大立ち回りはない。ただ、湯気の向こうで一つずつ証拠が揃う。鍋を振る手は震えない。これは、追われた令嬢が、出汁と塩と人の縁で成り上がる物語。

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小説を読もう2026/04/28
  • 現在の作品断罪令嬢のまかない飯が旨すぎて、冷酷王子が厨房から出てこない。