あらすじ
「あんた、無理よ」
──クレオパトラに、鼻で、笑われた。
若林すず、二十七歳。会社倒産、元彼の借金三百万を背負わされ、母は入院、妹は受験。詰んだ私が選んだ最後の仕事は、銀座の高級キャバクラ「LUNATIC」だった。
──だけど、その店は、おかしかった。
原文で源氏物語を読む先輩。流暢な英語と緑の瞳でフランス王侯を陥落させる絶対女王。フランス語を口ずさみマカロンを摘むお嬢様。
彼女たちはみな、歴史上の偉人の転生体。ここは、夜の世界の頂点に立つことを夢見て果たせなかった女たちが、来世の幸福を懸けて指名と売上を奪い合う、異形の店だった。
「あんたみたいな素人に、No.1は無理よ」
クレオパトラに鼻で笑われた私は、心を決めた。
──三か月後、絶対に、あの場所に、私の名前を。
そして、店の闇を支配する三条財閥の御曹司・黒鷹要は、なぜか私だけを見て、こう言った。
「君、なんか普通だね。それがいい」
凡人vs偉人。借金OLの夜職RPG、開幕。