あらすじ
⓵あらすじ
雨漏りする境界便倉庫で働く堕天使の青年アッツェは、宛先不明郵便の底から、存在しないはずの河川都市リュメへ続く「蒼い地図」を見つける。
同行するのは、現場確認を怠らない若き監査官アナエレ。最初は互いに警戒しながらも、二人は各地で届かなかった手紙を届け直し、消された町の記録へ近づいていく。
十二年前の長雨の日、リュメでは多くの人を救うために、旧市街を切り離す決定が下された。町の名は地図から消え、台帳から人の記録が薄れ、手紙は届かないまま眠り続けた。
アッツェとアナエレは、忘れられた町にもう一度返事を書くため、仲間たちとともに橋、郵便路、台帳、そして人の記憶を結び直していく。
②登場人物の紹介
アッツェ
境界便倉庫で雑務と補修を担う堕天使の青年。壊れたものを直すときだけ手つきが軽くなる。十二年前の雨の日に失った町の記憶を胸に抱えている。
アナエレ
境界管理局の若い監査官。書類だけでなく泥の中の現物まで確かめる。任務のために秘密を抱えながらも、目の前の声から逃げない。
ピロス
硬い鎖を扱う現場責任者。多くを救うために切り捨てを選んできた男。正しさの奥に、十二年前の判断への痛みを抱える。
ベッテ
数字に強い会計担当。費用には厳しいが、数字にされる前の人の顔を忘れようとしない。
マーガス
若手記録官。上役に合わせるのがうまいが、紙から消された名を前に、自分の立つ場所を選び直す。
ソフィー
魔導車と便具の補修師。じゃじゃ馬号を我が子のように扱い、終盤ではその機転が再接続の鍵になる。