あらすじ
「ミレーヌは病弱なんだ。少しぐらい優先しても、君なら分かってくれるだろう?」
婚約者ヴィクトルは、幼馴染のミレーヌが「発作」を起こすたび、私との約束を破って彼女のもとへ走っていった。
夜会も、婚約式の打ち合わせも、父の弔問の日さえも。
私は何度も確認した。
「診断書はございますか?」
「発作の記録は?」
「主治医の署名は?」
するとヴィクトルは、私を「冷たい女」と呼んだ。
ですので私は、王立医療法院に婚約診断書を提出することにした。
担当監査医は、3年前に1度だけ私を助けてくれたルシアン卿。
彼はにこやかに言った。
「大変珍しい症例ですね。婚約者があなたと話し始めた瞬間だけ発作を起こす病など、学会が歓喜します」
これは、病弱な幼馴染を理由に婚約者をないがしろにした男が、自分の優しさの正体を思い知る話。
そして、冷たいと呼ばれた令嬢が、誰よりも温かく見られていたことを知る話。