あらすじ
転校してきてから、卯月茜の毎日は少しずつ変わり始めた。
明るくてまっすぐなクラスメイト・藤崎翠に、毎日話しかけられるようになったからだ。
屋上で一緒に弁当を食べたり、放課後に他愛ない話をしたり。
翠の笑顔を見るたび、茜の胸は熱くなって、言葉にできない気持ちが膨らんでいく。
でも、それは「普通じゃない」。
女の子を好きになるなんて、おかしい。
そんな気持ちを抱えながら、茜は自分を責め続けた。
すると、ある日——屋上の空気が白く光り、翠の輪郭が一瞬だけ滲んだ。
翠の顔が、ぼやける。
背中が、知らない誰かに見える。
教室の光が、突然青白く落ちる。
茜が強く想うほど、世界の「縫い目」がほどけていく。
否定すればするほど、大切なものが少しずつ見えなくなっていく。
「翠ちゃんを、泣かせたくない」
そう願う気持ちが、世界を変え始める。
静かな教室と、風の吹く屋上。
二人の距離が縮まるたび、現実は少しずつ歪んでいく。
これは、ただの恋の話ではない。
想いの強さが、現実を溶かしはじめた物語。