あらすじ
公爵令嬢ミシェル・ウィンストンは、卒業パーティーの場で王太子フレデリックから「真実の愛」を理由に婚約破棄を告げられる。社交界の嘲笑、王家の都合、そして宰相である父ジェレミアの冷酷な命令。母の形見の香水さえ「隙」として奪われた彼女は、自分が王太子の婚約者でも、父の娘でもなく、ただ政略の盤上に置かれた駒だったと悟る。
だが、ミシェルは泣き寝入りを選ばない。政治学、憲政史、王位継承法を読み解くうちに、婚約破棄が単なる恋愛沙汰ではなく、王室・貴族院・宰相派の権力争いに絡む事件だと気づいていく。さらに、フレデリックの手紙に残された不自然な筆跡、第二王子アーサーの接近、父の思惑が、彼女を新たな陰謀の中心へ引き戻そうとしていた。
誰かの花嫁として飾られるのではなく、自分の意志で未来を選ぶために、ミシェルは知識を武器に変える。愛を正当性に掲げた王太子を、法と世論と権力構造の矛盾から追い詰めるために。もう、誰の盤上にも乗らない――これは、傷ついた公爵令嬢が政治学で王国の継承秩序を揺るがす、静かな反撃の物語。