あらすじ
妻リシアの命を救うため、Cランク冒険者アレンは――
冒険者最大の禁忌「死体漁り」に手を染めた。
本来、冒険者の遺体には触れてはならない。
尊厳を守るため、そして身元確認のため。
それを破る者は、仲間からもギルドからも見放される。
だが、あの日アレンは震える手で死体の財布を奪い、
その金でリシアは奇跡のように回復した。
「これで終わりだ」
そう誓ったはずだった。
――なのに、アレンはやめられなかった。
必要はもうない。
妻は元気だ。
借金も返した。
それでもアレンは、依頼の帰りに“死体”を探してしまう。
罪悪感は薄れ、慣れが勝ち、
いつしか“妻のため”は“自分のため”に変わっていた。
そしてある日、アレンは“最後の一回”を求めて
二度と踏み入れないと誓った危険地帯へ足を踏み入れる。
そこで待っていたのは――
救いではなく、天罰だった。
アレンの死後、リシアは何も知らないまま、
夫の遺品の中から一枚の金貨を見つける。
それが、アレンが“どこから奪ったもの”なのかも知らずに。
知らないままの愛と、知られないままの罪。
これは、一人の冒険者が静かに壊れていく物語。