あらすじ
母が「散歩に行ってくる」と言い出したのは、三年前の春だった。
行き先は「そこまで」。毎日午後二時、川沿いを三十分歩いて、同じ場所で立ち止まり、戻ってくる。認知症が進んでも、その習慣だけは消えなかった。
名前を忘れても、道は忘れない母。その「散歩」が何だったのかを、娘がようやく知る日がくる。
川の向こうの、もう存在しない場所へ。もう会えない人のそばへ。母はずっと、帰り続けていた。
記憶が失われていく中で、最後まで残るものは何か。愛とは、どこへ向かうのか。読み終えた後、もう一度タイトルを見てほしい。