あらすじ
王国が追う。帝国が狙う。法国が裁こうとする。魔族すら警戒する。
――その中心にいる青年、ノイヴァルト・ゼルハイン本人だけが、なぜかいつも飄々としていた。
交易都市ベルメリアで静かに暮らしていたはずの彼は、ある日《無》のレガリア保持者であることを知られてしまう。それは六色の理の外側にある、奪い、削り、否定し、すべてを空白へ還す異端の力。
各国は彼を欲し、恐れ、利用し、あるいは排除しようと動き出す。
だが当の本人は――
「面倒ですね」「とりあえず飯にしませんか?」
そんな調子で、旅の仲間たちと気ままな旅を始めてしまった。
豪快な鬼人族の戦士ガルド。理知的で苦労人な術師シオン。真面目すぎる帝国軍人リシェル。そして、彼を巡って動き出す王国・帝国・法国・魔族たち。
敵味方の境界すら平然と踏み越え、争いを会談に変え、神になれる力を持ちながら平穏を望む旅人。その存在は災厄か、希望か。
世界が騒ぎ、思惑が渦巻く中――今日も旅人は笑っている。
これは、世界の中心になってしまった男が、ただ穏やかに旅をしたいと願う物語。