あらすじ
神権軍事国家アステリアにおいて、雪は「神の沈黙」を意味する。
王の「影」を担い、忌み嫌われる処刑人の末流、シンジ・フォン・シュミット中尉。彼のもとに嫁いだのは、大公家の令嬢エレオノーラであった。
政略の道具、あるいは処刑人の家系への「罰」として宛がわれた生贄。誰もがそう同情した婚姻の夜、エレオノーラは冷徹な瞳で夫を射抜いて言い放つ。
「私をどうか、完璧な最期へと導いて」
彼女が求めたのは、幸福という名の退屈ではなく、鉄と血によって完成される「静止した死」であった。
鋼の規律に殉ずる男と、破滅に救いを見出す女。
王都を揺るがす軍事叛逆の足音が迫る中、二人の歪な新婚生活は、やがて凄惨で美しい「聖婚」へと昇華していく。
これは、泥濘の世界で唯一の純潔を証明するために、自らを切り裂き、永遠へと至った二人の魂の記録。