あらすじ
世界が「ゲーム」になった朝、エリザベート・セラフィムは渋谷の交差点に立っていた。
突如として全人類の視界に現れたステータス画面、スキル、クエスト。「このゲームにおける死は現実の死です」という一文とともに、日常は終わった。
彼女のスキルは【絶対観測】。見ることで、現実を確定させる力。それはゲームが始まる以前から、彼女がずっと持っていたものだった。
パニックに陥る人々の中で、エリザベートは動じなかった。感情より観察を、共感より判断を。彼女はただ、この状況を「理解すること」を選んだ。
だが、観測できないものがあった。
都市のどこかに現れる小さな生き物。ステータスが出ない。スキルが通じない。確定させようとすると、するりと逃げる。それでも、確かにそこにいる。
ゲームの日数が重なるにつれ、エリザベートの周囲に人が集まり始める。理由はそれぞれ違う。目的もそれぞれ違う。それでも気づけば、五人で朝を迎えるようになっていた。
このゲームは何のために存在するのか。誰が設計し、何を求めているのか。そして——すべてを観測できる自分が、なぜ自分だけは確定させられないのか。
問いを持ち続けることが、何かを守るのかもしれない。