あらすじ

怪異とは、人々が語り、噂になり、命を持った存在である。奇譚師とは、その生まれた物語を語り直し、再定義し、秩序を保つ存在である。 奇譚師である青年、小泉叶と、万物を識る者を自称する影の怪異、シャドウは、願いを叶える代わりに首を要求する「四つ首様」の事件を追う。被害に遭った少女、佐伯慎は、幼馴染である少女瑞穂との恋が成就したことを四つ首様が願いを叶えたからだと勘違いをしていた。実際は四つ首様は願いを叶えておらず、自分の成果だと嘘をつき、佐伯慎を脅していた。小泉は罰として、四つ首様を一度しか願いを叶えられない怪異として再定義する。 親友が神隠しに遭ったと証言する少女、宇佐美は奇譚師を頼った。しかし宇佐美は人間ではなく、自身のことを人間だと思い込んだ怪異であった。親友と語る友希の持つうさぎのぬいぐるみ、それが宇佐美だった。真実を見抜いたシャドウは宇佐美に現実を突きつける。自分の正体を知り、友希が学校を卒業すると共に美しい別れを迎えることを望んだ宇佐美は、奇譚師小泉によって「友希の友人」として消える。 シャドウは事件の数々の裏側で、奇譚師の名を広めるべく暗躍していた。その目的は小泉を怪異にし、人間として死なせないためである。小泉は祖父である小泉創一の生まれ変わりであり、シャドウは創一の友人だった。創一と死に別れた際に純粋すぎた友愛が執着へと変貌し、小泉叶として生まれ変わった存在へ向けられることになった。 小泉は自分のアイデンティティを確立できないでいた。それは小泉が創一の生まれ変わりであることと関係していた。自分が誰かの代用品だという意識は自己肯定感をすり減らし、小泉は自分が何者であるのかもわからないでいた。しかし、怪異であり異界である「やつくも村」にて創一の魂と会ったことにより、意識は変化する。創一と小泉は別人なのだと創一本人から突きつけられ、意識を固めた小泉はそのことをシャドウに語る。シャドウは激しく動揺し、創一という存在を二度失うことになる。だが、小泉を小泉として認めることで奇譚師コンビは唯一の関係性へと昇華する。 しかし人間でありながら怪異になったことを世界のルールへの反逆だと認識した創造神が、二人を罪人として捉え罰を与える。小泉は自身を語り直し再定義することで、創造神を騙した。創一が生み出したやつくも村の神、タマミケ様の力を借りつつ地獄から脱出する。その際、小泉叶とはどのような者であるのかを創造神に宣言する。こうして小泉はアイデンティティを確立させた。 奇譚師という怪異になった小泉とシャドウは、四つ首様と再会し、語ることの意味、意義を確かめながらやがて相棒になっていく。噂として語られ出した「奇譚師」は、やつくも村の森の奥に事務所を構え、依頼人を待つ。そこから奇譚師コンビの物語は続いていく。

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カクヨム
カクヨム2026/04/26
  • 現在の作品奇譚師