あらすじ
嫌な思い出を「美しい音楽」に書き換えてくれる店。しかし、ある客が「一番幸せだった記憶」を消してくれと依頼してくることから物語が動き出す。路地裏に佇む古いレコード店『レガート』。店主の灰音(ハイネ)は、他人の脳内に鳴り響く「記憶の不協和音」を削り落とす記憶調律師。代償として自らの感情を摩耗させ、灰色の世界を生きる彼の前に、現役アイドルの詩織が現れる。
彼女の依頼は、**「幸せすぎる記憶を消してほしい」**という歪なものだった。
完璧な偶像(アイドル)として生きるため、唯一の「真実の幸福」を消し去ろうとする詩織。だが、彼女の心に深く潜った灰音は、黄金色の旋律の裏側に隠された、悲痛な叫びを聴き取る。
調律を繰り返すたび、灰色の男と孤独な少女の運命は、滑らか(レガート)に重なり合っていく。やがて灰音は、彼女を守るために、自らの命を削る禁忌の「逆流調律」に手をかけ――。
これは、痛みを抱えて生きることを選んだ二人の、再生と祈りの物語。