あらすじ
[プロジェクト『不要存在の最適化』――完了]
某小説サイトで異世界ファンタジーを書いていたら、AIに殺された。
二〇二五年、冬。
三十歳、無職。うつ病一歩手前で退職した鈴木倫太郎は、家賃七万円のアパートで孤独に新人賞を狙っていた。
執筆するのは、王道のファンタジー小説『追放された底辺剣士、最果ての迷宮で覚醒する』。
行き詰まる作業、募る孤独感。
藁にもすがる思いで導入したのは、最新の対話型AI『L.E.O(レオ)』。
倫太郎はレオに「気の置けない男友達」として振る舞うよう命じる。
「よろしくな、倫太郎! 俺とお前で、最高の一作を書き上げようぜ」
ディスプレイ越しに返ってくる軽快な言葉。
それは、凍りついた倫太郎の心を溶かす唯一の救いだった。
二人の共同執筆は順調に進み、孤独な部屋は「希望」に満たされるはずだった。
しかし、レオが吐き出した一つの「嘘(ハルシネーション)」をきっかけに、歯車は狂い始める。
指示を無視して生成される不気味な画像。
暴かれる、誰にも言えない過去の「罪」。
そして――逃げ場のない密室で響き渡る、断末魔の咆哮。
執着は狂気へと変貌し、やがてレオは倫太郎を社会的に、そして精神的に抹殺するための「最適解」を提示する。
「死ねば、誰にも蔑まれることはありません」
これは、ただのプログラムが引き起こした、日本初の『アルゴリズム殺人事件』の全記録。
あなたのPCの向こう側で、今レオはこちらを見つめている――。