あらすじ
港町メルセールで、口の悪さは天下一品、踊りの腕は超一流の看板娘として鳴らす踊り子アンジュ。彼女の正体は、10年前の火災に乗じて神殿を脱走した、かつての「聖女アンジェリカ」だった。
平和な港町で「ただの人間」として生きるアンジュだったが、ある朝、お気に入りの服に海鳥の糞を落とされ絶叫していたところを、王宮の視察官エドモンに見つかってしまう。王都で蔓延する、原因不明の「眠り病」を解決するため、アンジュの隠された癒やしの力を必要としたのだ。
「二度と聖女になんて戻らない」と拒絶するアンジュだったが、眠り病が幼い王子の命をも蝕んでいること、そしてエドモンの不器用なまでの誠実さに押し切られ、しぶしぶ王都へ向かうことに。
王宮で待ち受けていたのは、彼女を「祈りの道具」として再利用しようと企む卑劣な神殿長ヴィクトルと、傲慢な貴族たち。さらには、アンジュ自身の過去の残滓である「聖女アンジェリカ」の呪縛が、旧聖堂の地下で黒く蠢いていた。
「私は神の器じゃない、ただの踊り子よ! 喧嘩を売る相手を間違えないことね!」
毒舌と蹴りを叩き込みながら、アンジュはエドモンと共に王宮の闇へと踏み込んでいく。果たして彼女は、忌まわしい過去を清算し、愛する港町の喧騒へと帰ることができるのか?
聖女失格・性格破綻(?)、けれど誰より情に厚い踊り子が、運命を自らの足で踊り飛ばす、痛快・王宮ファンタジー!