あらすじ
ヴェルナー伯爵家に嫁いで3年、ヴェアトリスは夫から青ざめた顔で告げられた。
「私は子をなせぬ病である。家門の血を絶やさぬため、弟ルカスとの間に世継ぎを成せ」
――左様でございますか。それでは、診断書を拝見いたしましょうか。
夫の目が泳いだ瞬間、ヴェアトリスは確信した。これは病ではなく、嘘である。
義弟ルカスは10年前から彼女を見つめ続けてきた朴念仁。家令ハインリッヒは九世代分の家門法を全て暗記している。そしてヴェアトリス自身、嫁ぐ夜に署名した婚姻誓約書の三十七条を、一字一句覚えていた。
――その条文には、こう書かれている。「夫が虚偽の理由により正室の貞節を弟または親族に委ねた場合、嫡男の地位は当該夫より剥奪され、最も近き直系男子へ移譲される」と。
親族会議の朝、ヴェアトリスは3枚の紙を卓に並べた。夫が出した偽診断書。本物の医師による健康診断書。そして、夫の署名入り婚姻誓約書。
「フェルディナント様。あなたが望まれた『合理的解決』、ありがたく頂戴いたしました」
「な、なぜ廃嫡されるのは私なのだ!?」
※ハッピーエンド/ざまぁあり/義弟溺愛