あらすじ
世界トップクラスのボルダラー、穴倉一は、ある日突然“奈落の底”へ落とされた。
そこは、魔物が蠢き、重力すら狂う異世界の深淵。
だが――彼は絶望しなかった。
「……壁か」
常人なら立つことすらできない断崖を、指先ひとつで掴む。
崩れる足場、消える重力、逆さの空間。
すべてを“登攀”で突破し、彼は地上へ帰還する。
その技術は、剣も魔法も超えていた。
城壁も、塔も、空すらも。
“登れるもの”すべてが、彼にとってはただの道になる。
やがて人は彼をこう呼ぶ。
――壁を越える者(クライマー)と。
これは、握力だけで世界の理を塗り替える男の物語。