あらすじ
かつて、この世界には「神」がいた。
千年前、天を裂き地を砕くほどの壮絶な戦いがあり、神々は消えた。しかし、彼らはただ滅んだわけではない。その強大すぎる意思と力は形を変え、人々の魂の深層へと溶け込んでいった。
それが、現代において「オーラ」と呼ばれるエネルギーの起源である。
人々は皆、生まれながらにオーラをその身に宿している。
それは単なる精神力ではない。明確な「質量」を持ち、鉄よりも硬い「硬度」を備えた、生きたエネルギーの塊だ。
オーラを纏った拳は岩を砕き、オーラを練り上げた防壁は銃弾を弾く。
そして、この世界の戦いにおける絶対の真理は――「オーラは、オーラによってしか打倒できない」ということだ。
他者のオーラと自分のオーラが衝突したとき、両者は互いの質量を相殺し、激しく打ち消し合う。
それは、エネルギーを削り合う残酷な消耗戦だ。オーラを使い果たした者は、魂の底を浚われたような凄まじい疲労に襲われ、一時的に立ち上がることすら許されない。
また、人々はオーラと共に、それを発揮するための「回路能力」を先天的に持っていた。
オーラを火に変える者、肉体を強化する者、あるいは「ゴム」の性質を与える者。限られたオーラをいかに回路に通し、いかに効率よく運用するか。それが、この時代の強者の条件となった。
しかし、その理(ことわり)を根底から覆す異能が存在する。
神々が未来に自分の思いを託した破片――【力】。
限られた者にのみ与えられるその権能は、持ち主が生まれ持った回路能力さえも上書きして消し去り、世界の理を書き換える。
「英雄」の加護を受ける者が現れれば、「厄災」を望む者が目覚める。
千年前の終止符は、まだ打たれていなかったのだ。
これは、そんな神の遊戯に翻弄されながらも、自分の足で勝利への道を歩もうとした一人の少女の物語である。