あらすじ
とある会社の休憩スペース。白い壁と天井に囲まれ、壁際には大きめの観葉植物が置かれた簡素な空間。自販機の駆動音とコーヒーメーカーが湯を沸かすかすかな音だけが響いている。
二人の同僚が立ち机に肘をつき、向かい合って話をしていた。もっとも、口を動かしているのはほとんど片方だけで、もう一方は気の抜けた相槌を打つばかりであった。
「ね? ひどいよね? 最初にも言ったけどさ、僕が『その店は入ったことないし、注文の仕方もよくわからないから、ちょっと嫌だなあ』って、軽くぼやいただけなんだよ? それなのに、いきなり人格否定の嵐だよ。『はあ? 世界狭っ! いや、信じられないんだけど。ほんと。人生経験乏しすぎでしょ』とか、『無理無理無理無理。情けなさすぎて無理。お母さんのおなかの中に自立心置いてきたの?』とかさ。さすがに言いすぎでしょ」
「はいはい……」