あらすじ
人の“本音”を引き出す特殊なアルコールが社会制度として導入された世界。政治家や教師、医師などは定期的にそれを使い、本音を語ることで透明で正直な社会が実現したかに見えた。
しかし次第に、本音だけが重視される社会は冷酷さを増していく。人々は配慮や希望よりも「事実」や「効率」を優先し、傷つく者が増えていった。
そんな中、検査官として働く若者は、「本音」とは本当に一つの答えなのか疑問を抱く。ある日、彼はあえてアルコールを使わずに対話を試みる。そこで見えたのは、矛盾し揺れ動く、人間らしい言葉だった。
若者は気づく。本音とは単純に引き出せるものではなく、多面性を持つ人間そのものだと。そして彼は、制度に小さな反抗を残すのだった。
ショートショートです。