あらすじ
冬花が清良を捜し出したときにはもう、彼女はその店で、姐さんと呼ばれる存在になっていた。だから店にいたほかの女性たちは、姉さん、と、清良に駆け寄った冬花のことを、清良の実の従妹ではなく、どこか他の店に勤めていた頃の後輩かなにかだと思ったらしかった。
本来なら、姐さんと呼ばれるほど長くひとところに勤めているのは良いことだろうけれど、清良が勤めている店は売春宿だった。観音通り、とかいう名前で呼ばれる売春窟の中の、中くらいの規模の店。そこに冬花の従姉は、もうずいぶんと長く勤めているらしかった。長屋形式の店の表で、他の娼婦たちと並んで客引きをしている清良を見つけた冬花は、一瞬呼吸も忘れた。