あらすじ
失恋した夜、みっちはあてもなく街を歩いていた。
そこで出会った一匹の猫は、静かに言った。
「帰りなさい、お嬢ちゃん」
その猫は言葉を話し、みっちを夜の公園へと導く。
そこでは十数匹の猫たちが、“下僕”──自分たちと暮らす人間を探していた。
なぜか猫の言葉を理解できるみっちは、彼らの願いを叶える役目を引き受ける。
決して離れない兄弟子猫。
仕事も恋も、未来を理由に決断を避けてきた自分。
失恋さえも、どこかで予感しながら見ないふりをしていた。
新月まであと四日。
期限の中で、どうしても見つからない“答え”が一つ残る。
離れることを拒む、二匹の子猫。
誰かを探し続けるか。
それとも──自分が選ぶのか。
新月前夜、みっちは決断する。
未来の保証ではなく、「今この瞬間」を引き受けることを。
それは、小さな命を迎える選択であり、
同時に、自分の人生を引き受けるという選択だった。
あの夜の出来事が現実だったのかはわからない。
ただ一つ確かなのは──
あの日から、みっちは「選ばない人間」ではなくなったということ。