あらすじ
東京のFMラジオ局に勤める三十四歳のディレクター・古川明音は、雨の夜にタクシーを奪い合った無愛想な男からハンカチを渡され、そのまま別れた。
翌週、同じビルの七階に事務所を構える弁護士・松井寛だとわかり、仕事の縁で番組ゲストとして迎えることになる。
言葉が少なく、でも言葉の選び方だけは誰より正確な松井と、リスナーの言葉を全部受け取ることを信条とする明音は、マイクを挟んで少しずつ距離を縮めていく。
一方、明音の才能を誰より知るプレイボーイの上司・若嶋津源三も、明音への気持ちを隠さなくなり、三角関係は静かに、でも確実に動き始める。
気づいたときには一点が見つけられないほど好きになっていた、という二人の一年間の、言葉と沈黙の積み重ねの物語。