あらすじ
城島 恒一は、一流企業の経理部で働いていた。数字を扱う仕事は性に合っており、正確さだけが評価される環境に満足していた。しかし月末決算のわずかな数値の誤差をきっかけに、彼の人生は一変する。本来であれば修正可能な軽微なミスであったにもかかわらず、その責任はすべて彼一人に押し付けられた。説明は通らず、弁明も意味を持たず、結果として「自主退職」という形で職を追われることになる。
その後の転職活動も、前職の経歴が足かせとなり、どこにも居場所を見つけることができなかった。社会的に行き場を失った彼は、ある夜、強烈な虚無感の中で意識を失う。
目を覚ますと、そこは白一色の空間だった。そこで彼は“神”を名乗る存在から、二つのスキルを授かることになる。「鑑定」と「アイテムボックス」。
鑑定スキルは物の価値を視覚的に把握する能力であり、Lv1では市場価格や状態といった基本情報のみが表示される。しかしレベルは累計収益によって上昇し、Lv2では高額商品の安定鑑定、Lv3では人の価値、Lv4以降では金融市場そのものへと対象が拡張されていく仕組みが提示される。
一方アイテムボックスは無限容量を持ち、時間停止機能を備えた完全な収納空間である。
目を覚ました城島は、その能力の現実性を確かめるように行動を開始する。最初は半信半疑であったが、やがて鑑定結果が現実と一致していることを理解し、リサイクルショップの商品から利益を得る形で検証を進めていく。
やがて彼は気づく。この能力は単なる便利な道具ではなく、「価値の歪み」を可視化する異常な視界であることに。そしてその歪みを利用することで、彼は小さな転売から確実に利益を積み上げていく。
数字に支配された世界の裏側で、城島 恒一は静かに“価値を読む者”として歩み始める。