あらすじ
アルヴェイン王国第一王子クリスティアンは、婚約者であるエルグラン公爵令嬢フィラリアを断罪した。ボルドー男爵令嬢ヴィヴィアンを虐げていたからだ。そう信じていた。
しかし、証拠は不十分。ヴィヴィアンは虐げられていた。それは本当だ。だがそれは、フィラリアの指示ではなかった。
問題になったのは自分だった。誤った証拠を鵜呑みにした力不足。感情のままに婚約を破棄した王族としての未熟な姿。側妃の息子であるクリスティアンは、エルグラン公爵家の後ろ盾を失って平民に落ちた。
今まで王子として生きてきたクリスティアンは、突然平民になっても自分の身支度すら自分でできない。行き倒れたクリスティアンを拾ったのは、冒険者の女だった。
「働かないならご飯は出さない」
元第一王子、今日から仕事は薪割りです。
クリスティアンを拾った女、ルルティアは厳しい女だった。水汲み、薪割り、買い出し。何もしようとしなければ、本当に丸一日何も食べさせてくれなかった。だが、失敗しても、やろうという姿勢があれば美味しいご飯を出してくれた。
断罪返しをされた元第一王子が、街の人々と触れ合う中でたくさんのことを学ぶまで。
拝啓、かつて私が断罪したあなたへ。
もしもあなたと手を取り合えたら、今も私はあなたの隣で笑えていただろうか。