あらすじ
俺の所属するボランティアサークルに、変わった後輩がいる。
アホウドリ獣人のホノカ。長い前髪と丸眼鏡で目元を完全に隠した、人見知りで、どんくさくて、あがり症な、純度100%の陰キャ後輩。
入部直後の歓迎会で、隅っこで固まっていたのを声かけたら、なぜか俺にだけ懐いた。
以来、サークル内では「ホノカ担当のお世話係」が俺の役回り。
ホノカは他のメンバーには一言も話さないのに、俺にだけはよく喋る。
——しかも、言わなくていいことまで、全部喋る。
ある日の飲みの帰り、ホノカは満面の笑みでこう打ち明けてくれた。
「えっと、その、今日の帰りに、先輩を尾行して、お家を特定して、土曜の朝はコンビニで待ち伏せして、休日を一日、後ろから、ついていこうと思っていまして……」
——それ、ストーカーな。
慌てて口を塞ぐホノカ。だが、それは、序の口だった。
映画館で「いい雰囲気のところで先輩の手を握ろうと思って」と楽しみを暴露し、家に呼んでは「A○azonで買った媚薬(?)を先輩に飲ませようと思って」と計画を白状する。
大丈夫か、この後輩。
そんなある日、ホノカが俺の提案もあり、思いきってイメチェンをしてきた。
前髪をシースルーにして、コンタクトを入れたホノカ。
天使と呼ぶしかない可愛さで、彼女はサークルの注目を一身に集めた。
そして、その日の夜。ホノカが、相談があると俺を家に呼んだ。
他の男からのデートの誘い、その断り方を一緒に考えて欲しいという相談。
——その流れで、ぼそりと彼女は呟いた。
「私も、そうなんです」
「私も、ヤリモク、みたいなこと考えてて」
「先輩をここで押し倒して、襲おうかなって」
「その先の、お付き合いも、できたら、嬉しいなぁって……」
「あと、今日は、安全な日では、ないです」
「というか、そもそも、私、デキ婚を、狙ってるんで」
「先輩、何度も可愛いって言ってくれましたよね? 同意、ですよね?」
——嘘がつけない後輩からの、笑顔の押し倒し宣告。
詭弁は、止まらない。