あらすじ

あらすじ 西暦三一〇〇年、多層都市ミドルシティ。鉄と排気ガスに覆われたその街では、全身を機械化した「機士(カラクリ)」たちが時速三百キロを超える赤ボールを奪い合う、からくりドッヂボールが熱狂を呼んでいた。強化された鋼の体を持つ者だけが頂点に立てる——それが、この世界の論理だ。 少年・しょうたは、その論理の最底辺にいる。慢性疾患を抱える母、膨れ上がる医療費、蒸発した父が残した借金。さらに彼自身も喘息という弱さを抱え、生身のまま下層の路地を生きていた。「機械の体になれば、すべてから解放される」——それだけを支えに夜の路地で一人、硬貨を壁へ叩きつけていた彼は、ある日、廃倉庫で練習するはみ出し者たちのチームに拾われる。リーダーの清盛を中心とする彼らもまた、この社会からこぼれ落ちた者たちだった。 物語は三部リーグから始まる。勝ち上がるにつれて、チームの前に巨大企業メタルコープの影が伸びてくる。メタルコープは機士の製造と管理を独占し、スポーツの裏で選手を「商品」として扱ってきた。機械化が進むほど人間は均質化され、感情や判断が演算に置き換えられていく。弱さを消せば強くなれる——だが、消えた弱さの先に、何が残るのか。 二部、一部へと駆け上がるサクセスストーリーの裏で、その問いは重さを増していく。 そして、舞台が世界へと広がる。各国が威信をかけて送り込んでくるのは、スポーツ選手の皮を被った軍事転用技術の結晶だ。日本代表として挑むしょうたたちに、国家と企業が癒着した巨大な暴力が牙を剥く。 「弱さを消すために機械になるか。弱さを抱えたまま、人間として勝つか」 最新鋭の演算を、一人の少年の不合理な意志が凌駕する。これは、不完全な僕らが鋼鉄の支配を撃ち抜くまでの、熱き葛藤と覚醒の記録(サーガ)である。 からくりスポーツシリーズ第10弾

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/04/25
  • 現在の作品からくりドッヂボール