あらすじ
日本は、静かに滅びへ向かっていた。
大国が開発した完全自律型戦術AI「天(Tian)」は、軍事・経済・情報のすべてを掌握し、世界秩序を塗り替えようとしていた。
人類が持つあらゆる技術は、その脅威を前にして決定打を欠いていた。
国家機関に属する研究者・杵築睦貴は、対抗手段として日本神話を模したAIシステム「八咫」の開発に携わっていた。
だが、その力は最後の一歩を越えられず、行き詰まりを見せていた。
突破口を求め、故郷の出雲へ戻った睦貴は、神の存在を知ることになる。
やがて彼は、神域の奥で――
人の世から遠ざかっていたはずの神々と邂逅する。
神と人、科学と信仰。
交わるはずのなかった二つが重なったとき、「神威」は再定義される。
これは、神が力を振るう物語ではない。
神が「そこに在り続けていた」ことに、人が気づく物語である。
日本の命運を賭けた戦いは、まだ、静かに始まったばかりだ。