あらすじ
5年連続最下位、年間赤字5億円。盛岡イーハトーブスの三塁側バックネット裏、前から三列目、通路側に、毎試合ビールを五杯飲み七回に「カエレ」と叫ぶ禿頭の中年男がいた。
大杉源一、58歳。20年前に潰れた町工場の元社長、自己破産経験者、現・無職。
ある日届いた弁護士からの呼び出し状。読み上げられたのは、亡き球団オーナー・鷹司源三郎の遺言。「球団運営権を、三塁側バックネット裏のあのオヤジに譲る」——文句があるならお前がやれ、と。
妻の聡子が放った一言、「責任、取りなさい」
こうして、ジャージ姿の新オーナーが誕生した。
ハーバード卒の冷徹GM、根性論で凝り固まった老監督、二軍で燻る元エース、9回裏に逃げた4番の影。問題だらけの球団で、大杉が選んだ方針は——「勝つ気はねえ。でも、負ける気もねえ」
NPB史上初のマスコット退場、ジュリアナ式扇ダンス、専門ヤジ、そしてベンチでの親子喧嘩。
143話、プロ野球1シーズン、Bクラス球団の再生未満・崩壊未満の日々が始まる。