あらすじ
過去の失言、購買履歴、契約、評価、失敗。
人間のあらゆる行動が「ログ」として記録され、信用スコアによって人生が左右される社会。
就職活動に失敗し続けていた黒瀬湊は、三年前の匿名投稿ログが原因で、また一社の内定を失った。
消せない。
この社会に、ログを消す機能はない。
そう思っていた湊の前に、ある日、存在するはずのない鉛筆マークが現れる。
試しに過去のログを書き換えると、信用評価が変わり、現実まで動き出した。
最初は、自分のためだった。
やがて湊は、苦しむ誰かのログにも手を伸ばし始める。
過去に縛られた同僚。
職場で追い詰められる社員。
評価されないまま傷ついていく誰か。
ログを書き換えれば、誰かを救える。
けれど、一つの記録を変えれば、別のどこかで誰かの人生がずれていく。
そんな湊の前に現れたのは、五ヶ月前より前のログを持たない女性、白羽凪。
「それ、本当にあなたの選択?」
彼女の問いは、湊の中に刺さり続ける。
やがて湊は知る。
自分がなぜログを書き換えられるのか。
そして、自分自身がこの世界に一度も「ログイン」していなかったことを。
記録が人間を定義する世界で、
それでも自分で選ぼうとする、静かなSFヒューマンドラマ。