あらすじ
「まぬけ鳥(ブービー)を数えろ。それが艦長命令だ」
帝国海軍の若き代将ディエゴ・アゾールは、最果ての海で「鳥好きの阿呆」と蔑まれていた。
一隻のフリゲート艦『トリアンファドラ』を任された彼に、周囲は「没落した名家の残滓」と冷笑を浴びせる。
だが、ディエゴが空白の海図に描き込んでいたのは、海鳥の飛行曲線から導き出された”死の航路”だった。
標的は、リヴォルタ連合から「私掠免許」を与えられた最凶の海賊マスティノ。
数で勝るマスティノに対し、ディエゴが仕掛けたのは、砲火を交える以前の「毒餌」だった。
カビた食糧、偽りの物資、そして空を舞う海鳥の習性。
計算し尽くされた知略の包囲網。
だが、追い詰められたマスティノが選んだのは、船体そのものを牙とする決死の接舷戦だった。
轟音とともに重なる舷側、飛び交う木片。
知略の天才ディエゴは、自ら剣を手に取り、血の匂い渦巻く「殺し合い」へと身を投じる――。