あらすじ
『三階です』
また……か。そうだ、まただ……。
とあるワンルームマンションの一室。朝、目を覚ました男はゆっくりと上体を起こした。こめかみに指を当てて軽く揉みながら目を閉じる。頭の奥にこびりついた夢の残滓がじわりと浮かび上がってきた。
今の夢……。あれはやっぱりこのマンションだよな?
男はここ最近、毎晩同じような夢を見ていた。自分がエレベーターに乗っている夢。ただし視点はいつもより少し高く、両手には黒い革の手袋がはめられていた。
一回目はマンションの自動ドアをくぐり、エレベーターに足を踏み入れるところで終わった。二回目は二階に到着し、ドアが開く場面まで。そして三回目は――。
「三階に着いた……か。ふっ」