あらすじ
乙女ゲームの悪役令嬢に転生して六年。リディアはずっと知っていた。いつか断罪される日が来ると。
だから準備していた。書類を揃えた。覚悟を決めた。そして断罪の場に立ったとき、彼女は泣かなかった。
「何か言うことはないか」と王太子に問われ、リディアは静かに答えた。「ございません。粛々と受け入れます」
その瞬間、誰も予想しなかった人物が扉を開けた。
第二王子アシュルが取り出したのは、罪状の根拠となった証言と証拠——その全てが偽造であることを示す書類だった。六年かけて仕組まれた陰謀が、たった五分で崩れていく。
泣き崩れるヒロイン。青ざめる王太子。そしてリディアは、それを静かに見届けた。
「婚約は、このまま解消していただいて構いません」
怒りでも、悲しみでもなく。ただ、六年間一度も信じてもらえなかったという、それだけの理由で。