あらすじ
瀬戸内の小さな島で生まれた珠代は、幼少の頃に父親の勤務の関係で鎌倉方面に移り住む。
母親は毎年の様に里帰りをする事を楽しみにしており、二人の娘を連れて実家や、隣の島の姉夫婦宅に滞在するのであった。
たくさんのいとこ達との無邪気な交流の体験を重ねて、島での暮らしが珠代の生き方に大きく影響を与えて行くのである。
だが成長するに連れ、珠代は母親の心の闇にいやでも気付かされる事になる。
自分の存在意義を根底から崩される様な苦境の中、自分をも母をも救い出す為の道を必死で探って来たと思われる珠代の人生。
母親が亡くなった年齢を超えて、自身もまた大病を乗り越えたある時、珠代はまるで呼び戻される様にして瀬戸内の懐かしい島を訪れる。
そこで思いもよらない出来事があり、長年の苦しみから解き放たれ、母との間の軋轢や母自身の苦しみにも向き合う体験をする。
時空を超えて、確かな幸せをつかむ事を叶えてくれたのは、ずっと変わらない、優しくおおらかで、どこか温かさを湛えた瀬戸内の美しくも愛おしい風景、それどころか、瀬戸内そのものなのであった。