あらすじ
芸能活動をしながら通信高校に通う十八歳の樋口春愛は、飲酒騒動によるSNS炎上で仕事も居場所も失い、自暴自棄になっていた。
一年前に再婚した父の妻・美樹のことも好きになれず、反抗ばかりしていた。
ある夜、美樹に外出を止められた春愛は思わず「死ね」と言い放って夜の街へ出ていく。
その直後、山手線で発生した無差別事件の被害者として、美樹の名前が報じられる。
突然の美樹の死に、自分が発した言葉に後悔をする春愛。
春愛は五年前に亡くなった母・紗香との思い出の公園へ向かう。かつて一緒に乗ったピンク色のボートに揺られながら、返事の来ないはずの母にLINEを送ると、なぜか返信が届く。
「ずっと隠していたことがあるの」
次の瞬間、春愛は湖に沈み、目を覚ますと高校時代の母・紗香として生きていた。
全寮制のお嬢様学校で出会ったのは、明るく学園のスター、美樹。
かつて嫌っていたはずの彼女は、誰よりも優しく、不器用に苦しみを抱えていた。
やがて春愛は、学園に隠された秘密と、美樹が背負っていた過酷な運命、そして母・紗香との本当の関係を知っていく。
なぜ、美樹はあの夜、電車に乗ったのか。
自分は本当に、愛されていなかったのか。
すべての真実に辿り着いたとき、春愛は再び“あの夜”へと戻る。
これは、嫌いだったはずの「母」と、やり直すための物語。
後悔の先で気づく、かけがえのない家族のかたちとは。