あらすじ
紫禁城の奥に、記録にも地図にも存在しない秘宮「澄月宮」がある。そこは皇帝の命によって密かに築かれた場所であり、外界から完全に隔絶された静寂の宮だった。
皇帝は後宮や政務を顧みることなく、毎夜ただ一人の妃・月鈴のもとへ通い続けている。月鈴は後宮に入った当初から皇帝に深く愛され、その存在は後宮の記録から消され「病に伏した」と偽装されることで、誰にも知られず澄月宮に隠されていた。
二人の間には強い愛情と独占欲が交錯しており、皇帝は彼女を守るために外界から完全に切り離す決断をしている。一方で月鈴もまた、自らこの閉ざされた世界を受け入れ、ここを自分の世界だと認めている。
しかし時折、月鈴はこの関係が「愛」であると同時に「檻」でもあるのではないかという揺らぎを見せ、外へ出る可能性を口にすることもある。それに対し皇帝は激しく動揺しながらも、彼女を失うことだけは許さないという絶対的な意志を示す。
澄月宮は、国家の秩序の外側に作られた、皇帝がただ一人の女性のためだけに存在する異質な空間であり、そこでは権力も身分も意味を失い、ただ「皇帝と月鈴」という二人だけの関係がすべてを支配している。