あらすじ
「妖は、嘘をつかない。
──でも、人間が聞きたい形で答えるのは、得意です」
幕府の時代、京洛の妖奉行所。
妖と人が共存する時代。
下士族の少女・秋津雪(19)は、妖奉行所・翻訳方の見習い。
妖の言葉と人の言葉──同じ音で違う意味を持つ二つの言語を、
正確に訳すのが、彼女の仕事だ。
ある日、雪は気づいてしまう。
長官・梶山宗之助の訳文に、組織的な「誤訳」が混ざっていることに。
そして十二年前、殺された母が残した書き置きには、
妖訳官だけが読める三層の暗号が、隠されていた。
若き筆頭奉行・九条嵯峨と秘密の同盟を結んだ雪は、
母の死の真相と、妖訳官という職業の闇に、向き合っていく。
──身分の低い私が、長官様の誤訳を、すべて読みました。
これは、言葉の向こうにある真実を訳す、
少女と妖と、一人の奉行の物語。