あらすじ
王太子エドヴァルドから突然の婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレフィーナ。
理由は「冷酷で王妃にふさわしくない」という曖昧なものだった。
だが彼女は反論せず、あっさりと受け入れて王都を去る。
周囲は「感情のない令嬢」と彼女を評したが、その選択には理由があった。
――王太子は、自分で何も決められない人間だったのだ。
これまで政治判断、貴族調整、政策の方向性――そのすべてをセレフィーナが裏で支えていた。
だが本人はその事実に気づかず、「自分が優秀だからうまくいっている」と思い込んでいた。
そして彼女がいなくなった瞬間、歯車は狂い始める。
まとまらない会議、進まない政策、悪化する外交。
次々と露呈する“判断できない王太子”という現実。
やがて追い詰められたエドヴァルドは、セレフィーナの元を訪れる。
「戻ってきてほしい」と頭を下げる彼。
しかし彼女は静かに告げる。
「必要なのは私ではなく、自分で考える力です」
婚約破棄から始まる、依存の崩壊と手遅れの後悔。
これは、“失って初めて価値に気づいた男”の末路を描く物語。