あらすじ
生きたいわけじゃない。
ただ、書き終わっていないから、まだ終われないだけだ。
何を言ってもズレる。
誰かに近づこうとするほど、距離だけがはっきりする。
優しくなりたかった。
ちゃんと伝えたかった。
それなのに、口から出る言葉はいつも間違っていた。
だから彼は、物語を書く。
現実で言えなかった言葉を、誰にも届かない場所に並べ続ける。
これは、上手く生きられなかった男が、
それでも消えきれずに残してしまった言葉の記録。
書いている間だけ、まだ自分は終わっていないと錯覚できた。
——その錯覚が、いつまで続くのかはわからない。