あらすじ
「晩君ってさ、吸血鬼だよね」
夕暮れの教室で晩青一郎(ばんせいいちろう)はクラスメイトの多幸日々子(たこうひびこ)に告げられた。
真っ赤な夕日が氷山に沈んだその時、青一郎の口の中に真っ赤なトマトが押し込まれた。
ぷつっと皮が弾け、濃厚な果肉のジュースが流れ込む。甘みと酸味が脳天に響き、氷山に沈んだ太陽が青一郎の頭蓋から顔を出す。マズい。
吸血鬼は血を食事とする。人間の血ならとりわけ良い。
反面、人間の食事はくそマズい。生臭い命の味がする。触感は砂で嗚咽が止まらない。
多幸日々子とは話した事がない。それなのにこの女は今日僕の家に来て飯を作るという。最悪だ。
そんなの断ればいいと思っているだろう。なら、見てみるがいい。
この女、多幸日々子の異常さを。
今日僕は、僕の命を脅かす美しくウザい悪魔に出会った。